人生会議で話し合えないこと

厚生労働省による「人生会議」のポスターに批判が集まり、

放送が中止されたというニュースが報じられました。

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_02615.html

人生会議とは、ACP(アドバンス・ケア・プランニング)の愛称だそうです。

人生の終末段階において、いよいよ最期を迎えようとする時に、

判断能力や意志伝達が困難となってしまった場合に備えて、

たとえば既往症やお薬についての意向、今後の治療に対する希望などを含む

その方にとってきわめて重要な情報について、話し合い、

あらかじめお伝えするべき相手にお伝えする機会です。

その中には、相続や告別式など、

亡くなった後に起こるであろう問題に対する

ご本人の意向も含まれています。

これはたしかにデリケートな領域です。

ご高齢の方や闘病中の方は「まだそんなことを考えたくもない…」

ご家族は「縁起でもない…」と感じられても

無理はないことでしょう。

しかしながら、厳密には、人生会議は終末期の方や

ご高齢の方だけが対象のものではないということです。

人生、何が起こるかわかりません。

若い人であっても、子どもであっても、

いつ病気や事故や災害に見舞われるかは誰にもわからないことです。

そうであれば、あらゆる世代の方が、人生会議(という名称はさておき)、

いざという時への備えをしておくことは、悪いことではないと思います。

問題は、このことについてのご本人の意思です。

こうしたデリケートで重要な事柄について、

周囲から促されたくはありません。

医療・福祉の方々から、たとえ善意からであっても、

「余計なお世話」と感じられるようなはたらきかけは、

煩わしさ以外の何ものでもないでしょう。

その方が、ご自分でゆっくりと検討され、

ご自分で決めたタイミングで実行されるのであれば、

ご本人はもちろん、ご家族と周囲の方々も、気遣いや遠慮なく、

お話合いが出来るはずです。

さて、いずれ誰にでも訪れる人生の終焉…ということを考えた時に、

既往歴や相続やお墓などと引けをとらない

重要なテーマが、ほかにもあるのではないでしょうか?

セラピスト、ヒーラーの立場からみると、

むしろそちらのほうが気にかかるテーマ、

それは、心残りや後悔、やり残していることです。

人生の最期に、心に平和があること、悔いが残らないことは、

そうであったらよいと願っていたとしても、

そのままにされてしまうことが多いものです。

多くの方々が、日常の忙しさに紛れて、

ありとあらゆるメディアの情報に取り巻かれて、

ゆっくりと心を見つめるひとときや、

過去を振り返って見直す機会を得ることが少ないためです。

目の前にある仕事や家事、子育て、介護、雑事に追われて、

心や人生に意識が向けられることがなくなってしまうのです。

昔の人々は、旅に出て、旅先の非日常的な空間で自分と向かい合い、

心の声を聴き、過去に思いを馳せて、

それが数々の文学作品などにもなっていますが、

現代は、そういう雰囲気ではなくなりました。

スマホを片手に、インターネットからの情報と共に行動し、

映える写真や耳よりな新しい情報を手に入れながら進みます。

心の深層や、忘れていた胸の痛み、

本当は言いたかったのに言えなかったあの言葉は、

目の前に展開される色鮮やかな現実に覆い隠されて

無かったことになっていってしまうのです。

心残りや後悔は、それが次第に重くなってきて、

日常生活を浸食してくるほどになった時、

ゆっくりと意識に上ってくるかもしれません。

あるいは、何かがきっかけとなって、ふいに浮上してきたり、

身体的な不調、精神的な落ち込みなどの形で

現れるかもしれません。

それをそのままにしないで、十分に癒し、解放するお手伝いをするのが、

スピリチュアルペインを癒すスピリチュアルケアです。

スピリチュアルケアは、人生会議と同じように、

人生の終末期だけのものではありません。

人生のどの時点であっても、

心残りや後悔、自責、罪悪感、怒りなどが解放されると、

心も、体も、軽やかになり、その後の人生が変容していきます。

そうであれば、その方が今、何歳であっても、

若くてきわめて健康であっても、

心残りに取り組む大きなメリットがあると思います。

人生の最期になって、

ご高齢やご病気を抱えながら心と向かい合うよりも、

もっと早い時期にご自分を癒し、重い荷物を下ろして進む方が

解放のプロセスが楽に進みますし、

その後に得られる収穫が、いっそう豊かなものになるでしょう。

「人生会議」で話し合うとされるテーマの中には、

「本人の気がかりや意向」「本人の価値観や目標」なども含まれていますが、

誰にも言えない複雑な問題であったり、ドロドロした確執であったり、

ご家族など身近な人に負担をかけたくないという配慮が

働くテーマもあることでしょう。

エンディングノートというものもありますが、

後悔や心残り、罪悪感、言いたかったのに言えなかった言葉、

したかったのに出来なかった行動は、

エンディングノートにすら書けない、

微妙で繊細な心に触れることもあるものです。

人生会議などで、オープンにしたくはないこと、

家族にすら、とうてい話すことが出来ないようなこと、

ご自分の心の奥に、長い間、しっかりとしまい込んでおいたことは、

個人情報を厳守する個人セッションの安全な場で開封し、

吟味し、どうしたいのかを検討してみることが出来ます。

手放すためのアプローチは、その方のご希望をお聴きして、

傾聴、ホリスティックカウンセリング、

心理療法、エネルギーヒーリングなど、最適な手法をご相談致します。

今はそれをしまっておき、持ち運ぼうというのであれば、そのままに、

棚卸しをして解放したいのであれば、その方にとって楽に行えるように、

その方の意思を無条件に尊重し、サポートをさせていただきます。

心残りや後悔などの人生のスピリチュアルペインを癒す

人生のスピリチュアルケアは、年齢に関係なく、

また特定の宗教とは関わりがない立場でさせていただいています。

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