深刻なお悩みがある時、
気がかりなことがあって気持ちが沈んでいる時、
仕事や家事など何かをしていても、
無意識のうちに、考えるともなく、
そのことを考えてしまいがちです。
意識されないまま、心がそのことに向かっていて、
気がかりなことが頭の中でぐるぐる回っているような状態では、
片時も心が晴れず、悲観的なほうにばかり、思いが傾きやすくなります。
このような時、苦しみから抜け出すには、どうしたら良いでしょうか?
お悩みを解消できたり、解決するための方法を考え出したり、
傷付いた心を癒したりするのが最善であることは、
言うまでもないことですが、
言葉で言うほど、簡単ではありませんし、
時間がかかることもあるでしょう。
もしも近々、セラピーやヒーリングのセッションを受ける予定があるとしたら、
その日までに行うことが出来る、応急手当のようなコツがあります。
それはコンディションを意識的にシフト(転換)させることです。
イメージを使ってシフトさせる
どんな方にも経験があると思うのですが、
何かにとらわれている最中、ほんの一瞬、
精神状態が変わることがあります。
たとえば、思うような結果が出なくて落胆している時、
たまたま雨上がりの空に美しい虹が見えて心が慰められたり、
誰かの面白い冗談が耳に入って、
思わず心がほぐれたりしたことはないでしょうか?
積極的に何か行動を起こそうとしたわけではないにもかかわらず、
ちょっとしたことで気分が一変し、
精神状態や思考などが変わることがあります。
虹や冗談は、自然、偶然に起こったことですが、
これを意図的に行うことも出来ます。
その時にお勧めしたいのが、イメージを使うことです。
現状陥っている苦悩から、少しばかり意識を切り離して、
ご自分にとってポジティブなイメージを描いてみましょう。
美しい自然の風景や輝かしい出来事、幸せそのものの体験、
素晴らしい人間関係、スポーツや旅行、歌や踊りなど、
ご自分にとって快いものならば、何でもOKです。
未来はこうなったらいいなと思うことでも良いですし、
過去に実際に体験した喜びでも良いのです。
そしてそのポジティブなイメージ世界に入り、浸ってみます。
すると、潜在意識は、事実とフィクションの区別がつかないため、
イメージしたことを現実であるかのように受け取ります。
心の状態が変わり、潜在意識にも伝わると、
身体の生理的なコンディションにも変化が起こります。
苦しく辛い状態から、明るく晴れやかな状態へのシフトが起こります。
イメージは、出来る限り楽しく、ワクワクすること、幸せを感じられること、
気分が浮き立つことでもよいし、穏やかに落ち着くことでも良いでしょう。
視覚イメージと体感覚イメージ
念のために付け加えますと、
イメージには、視覚的なもの、体感覚的なもの、聴覚的なものがあり、
その方によってイメージの受け取り方には違いがあります。
たとえば視覚的なイメージでしたら、
絵に描けるような映像のリアルさがありますが、
体感覚的なイメージには、映像の要素は少ないかもしれません。
その代わりに、心が躍るような感覚や、体があたたかくなる感じ、
心地よい感覚や感触などが得られるでしょう。
元々体感覚イメージタイプの方が、
映像的なイメージを求めて視覚化しようと努力することがあるのですが、
無理をして頑張る必要はありません。
その方にとって楽に受け取れるイメージで良いのです。
私の経験では、体感覚イメージが、視覚的なイメージに比べて
効果が薄いなどということはありません。
ですから、細部まできっちりと絵に描けるようなイメージを
持とうとする必要はないのです。
むしろイメージそのものよりも厄介なのは、
イメージしながらも、つい、突っ込みを入れたくなる思考のほうです。
否定的な思考、暗い想念を止める
シフトのコツは、イメージしながら否定的な想念を持たないことです。
「どうせこんなこと、私に起こるわけがない…」
「これはただのイメージ、長続きはしない…」などと、
つい考えてしまいがちですが、そこはぐっとこらえます。
何もしないでいると、思考は自然に勝手な動きを始めますので、
意識して止めるか、方向づけをしましょう。
暗闇へ向かいそうになる思考を暴走させず、静かにさせておくには、
少しばかり練習が必要となるかもしれません。
瞑想をする習慣がある方はご存じかと思いますが、
瞑想中に雑念が湧いてくる時、
雑念にとらわれずにただそれを手放すということを続けていくと、
次第に雑念が少なくなっていきます。
常に思考が忙しくはたらいていて、
なかなか止められないという場合には、
まずは、思考を離れて「無になる」ひとときを過ごすことを
試してみてはいかがでしょうか?
思考は、心と密接に関連していて、
思考によって心が穏やかになることもあれば、
その反対にかき乱され、落ち込んでしまうこともあります。
特に不安には、無意識の否定的な思考が
影響を及ぼしていることが少なくありません。
まだ何も起こっていないのに、
不吉なことを考えてしまうことによって、
激しい不安に苛まれる予期不安もあります。
思考を脇に置いて、幸せなイメージの世界に包まれ、
心が幸せに満たされる…という状態を目指しましょう。
前に進む活力を生み出し、幸せの可能性をひらく
心がポジティブになり、体のコンディションが向上し、
良いイメージが、事実として潜在意識に落とし込まれると、
実際に、その方の日常生活において、
その良いイメージが現実のものとなる可能性が高くなります。
潜在意識が持つ特性として、そうなっていくわけです。
すなわち幸せなイメージによって心身の状態をシフトさせることは、
潜在意識のパワーを使って、幸せを具現化することにもつながるのです。
ですから、間違っても、悲観的で暗い見通しのイメージや
破滅的、自罰的なイメージは持たないことです。
幸せなイメージによるシフトが、
最初のうちは、たとえ数分間だけであったとしても、
その数分間、何もしないで苦しみの中に居続けることに比べたら、
結果は雲泥の差を生み出すことをご理解いただければと思います。
この幸せなイメージによるシフトを続けていくうちに、
いずれはたやすくシフトを起こせるようになり、
ご自分を癒すこと (=セルフヒーリング) にもなっていきます。
もちろん現実的な問題の解決や、解消に向けた努力と行動が
必要であることは言うまでもありません。
しかしながら、現実的な努力と行動を生み出すことが困難であるくらい
落ち込んでいたり、消耗していたりしたら、どうしようもありません。
たとえ短時間であっても、イメージによるシフトを応急的に試みて、
お悩みの解消に、前向きに取り組むための活力を生み出しましょう。
そして、イメージしたとおりの幸せが具現化する可能性を
意図的にひらいていきましょう。
現在の状況がどうであれ、私たちは、今、ここに、
幸せを創り出すことが出来るのですから。