ポジティブな変容を阻む要因

同じテーマのお悩みであったとしても、

その方が今、何を望んでおられるかは、

それぞれ異なっているものです。

何とかして解決したい、改善したい、

楽な気持ちになりたい…という望みにしても、

そのために何をどうしたいかというところが違うのです。

そのために、セッションでは、

まず、ゆっくりとお話をお聴きしています。

セラピー、ヒーリングの前に行われる事前カウンセリングです。

事前カウンセリングでは、その方がお話になりたいことは、

原則としてすべてお聴きします。

そのうえで、どのような方法で、

その方が望む癒しを実現するかについて、

複数の可能性を視野に入れながらご提案し、ご相談していきます。

たとえば、親御さんから虐待を受けた方が、

現在も続く生き辛さを癒し、

その影響から解放されたいと望むことは少なくありません。

また、それとは少し違って、

今も干渉してくる親との距離を適切に取りたい、

そのために必要な意志の強さや気力が欲しいということもあります。

虐待によって今も続いているさまざまな不調を、まずは取り除き、

楽になりたいと願っておられる場合もあります。

親御さんに対する途方もない怒りに苦しみ、

その怒りを何としても解放したいと願う場合もあります。

それらとは少し次元の異なるものですが、

なぜ自分を虐待する親のもとに生まれてきてしまったのかを

探求したいとご希望になる場合があります。

また、親御さんを、1人の人間として客観的に理解したいと望み、

親御さんが虐待をしてしまった背景を探りたい、

そうなった原因をはっきりさせたいと望む場合もあるのです。

言葉で表現すると、どれも問題は親からの「虐待」となりますが、

現実には、その方が何を辛いと感じられるかは違っています。

さらに、その後の人生によって、

またその方のパーソナリティや価値観によって、

現状だけでなく、今、強く望んでおられることもまた、

それぞれ違ってくるのです。

このように、私どものセッションの目標とゴールは、

クライアントの方がご自分で選び、決定するということになります。

そのため事前カウンセリングは、大切な役割を持ち、

時にたくさんの時間が費やされることになるのです。

ご自分が何を求めているのかを明確にするのは、

生き辛い、苦しい、不調がある…という時であればなおさら、

たやすく行えることではありません。

ここで、実はもう一つ、困難で重要な問題があります。

それは、今、取り組もうとしている問題の背後に、

いっそう難しい問題が潜んでいることです。

例を挙げてみましょう。

人生の重要な局面で、

「決断することが出来ない」というお悩みがあって、

セッションにお越しになったとしましょう。

その方が望むことは、決断すること、

それも、ご自分にとって、より良い選択が出来ることです。

そのために役立つセラピー・ヒーリングを組み合わせ、

ホリスティックにはたらきかけ、

ついにある選択をされるところまで行き着いたとします。

「よりよい選択が出来る」ということが、

セッションの目標であり、ゴールでしたので、

セラピスト・ヒーラーの側からみると、

ひとまず着地点に落ち着けた、

目標は達成されたと考えることが出来ます。

ところが、そうはいかないことが起こります。

セッションのプロセスやたどりついたゴールに対して、

クライアントご本人に、懐疑や不信がある場合です。

その懐疑や不信は、

当初のお悩みであった「決断できない」こととも

関わりがあるのですが、いっそう根源的で根の深いテーマです。

おそらくこれまでの人生と、親御さんからの影響、

周囲の人々や人間関係などから形作られ、

その方の核となる信念に組み込まれたものなのでしょう。

ある方に、ご自分に対する不信、他者に対する不信、

世界に対する不信などがあるとしたら、

その方は、何をするにしても、何を体験されるにしても、

「このこと/この人 を信じて 大丈夫なのかしら?」

「本当なのかしら?」と無意識のうちに

疑いの目を向けることとなってしまうでしょう。

ご自分に起こった癒しや解放、ポジティブな変化に対しても、

同様でしょう。

心の深層に不信感を抱き、無意識に疑いながら行うことが、

良い結果や望むゴールにつながっていくことは

そうでない場合と比べると、たいそう困難になってしまうはずです。

時には人格自我の望んでいる方向とは逆の方向へ

その方を向かわせてしまう怖れすらあるでしょう。

本当に残念なことです。

何よりも残念なのは、その方の表層意識(顕在意識)の大部分では、

良い方向へ変化していきたいと真剣に望んでおられることです。

もしもそう思っていなかったとしたら、

セッションにお越しになることはなかったでしょう。

不信感が、半ば自動的に作動するプログラムのようになっていて、

無意識の状態にあるため、その存在が、その方の中で、

もはや意識化されておらず、問題視もされません。

ところが、確実に作動を始めて、

今、手応えを感じたばかりの癒しや解放という成果の

足元をすくってしまうのです。

どうしたら良いでしょうか?

私どもは、セラピスト・ヒーラーとして、

事前カウンセリングの際、その方が言葉にされたご希望に沿って、

目標設定をするのが原則です。

ご本人が希望されていないことに対して、

「それはやめておいたほうが良いです」とか、

「それよりもあちらを目標にするべきでしょう」などと

こちらから申し上げることはありません。

そうであっても、セラピー・ヒーリングを終えた後のフィードバックでは、

根底に潜む不信や懐疑について、お伝えすることはあります。

セラピー・ヒーリングをさせていただいていると、

セッション中に、懐疑や不信がブロックとなって、

行く手をさえぎろうとすることに気付くことがあるためです。

ご自分のお悩みを解決するために、前向きなお気持ちで取り組み、

さまざまなセラピーやヒーリング、医療、ボディワークなどを

積極的に探したり、試してみたりしながらも、

不調が長期に渡って続き、なかなか良い成果が出ない時、

今、取り組んでいるお悩みの背後に、いっそう厄介で根の深い問題が

潜んでいるのではないかという視点を持つことが

役立つことを知っていただければと思います。

人は、それぞれの信念、世界観、人間観を持っています。

その中には、今まで大いに役に立ってくれたものが

たくさん含まれていることでしょう。

しかしながら、過去には役立っていても、

現在のその方には不要となったものや、

むしろ有害なはたらきをするものもあるかもしれません。

その方が幸せであることを阻む要素があれば、

手放していきましょう。そうすることは可能なのです。

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